こ と ほ ぎ 。

ふとした日常の、何気なく感じた、そんなことをつぶやいています。

水槽

 

 

自分だけのものなんて、あるわけないのに。

 

手を握っている時間も

抱きしめている時間も

一緒に笑っている時間も

誰かの犠牲の上にある何か、で。

 

 

愛したい、と

愛されたいと。

 

消えてしまいたい、と

消して欲しいと。

 

 

私たちが繋がっているのは、

寂しさを埋める為で

どちらも本当に愛されたいことぐらい分かっているのに

現実はそうも簡単にはいかないから

誰も幸せになれない約束をして。

 

それでも。

愛して欲しい、と願うばかりに

一人歩きして行きすぎて

誰も信じることができないから

せめて信じるものが欲しくなって、寄りかかって。

 

ようやく信じられる、はずだった。

 

 

 

少しずつ、息ができない。

大きく吸おうとしても、ゆっくり吐いても

次々苦しくなって、

海の底にゆっくり沈められていくような、

そんな感じ。

 

「愛してる」と呟かれて、

水の中でみる景色は、とても綺麗だ。

冷たい目も、冷たい手も

そのときだけは、全て私のもの。

 

その、全て、に

縋って泣くことしか、できない。

窓のない部屋と光と影

 

存在自体が救いになるということ。

明日を生きる、希望になるということ。

 

それが、わたしの存在意義で

それこそが、わたしが日々生きる意味になっていて。

 

それ、に埋もれてしまっては

溺れてしまってはいけない、と

頭では解っていながら

少しずつ、本当に少しずつ

息ができなくなるような毎日から逃げる為だけに

それ、に頼ることしかできなくなっているのです。

 

 

手を繋いでいても、同じ方向を見ていても

決して同じ道を歩むことはないのに

いつも欲しい言葉を、欲しい態度をくれて

いつも救ってくれる。

曖昧な言葉も、曖昧な態度もなくて

ただまっすぐに、抱きしめてくれる。

そういうところが、純粋に、素直に、好きなのだと思う。

 

それでも。

抱きしめて眠りにつくことができたり、

一緒の時間を過ごすことができたり、

曖昧な言葉と、曖昧な態度で疲れてしまっても

またこの続きがあればいいと思ってしまう自分がいて

そんな自分にたまらなく嫌悪感を覚えるのも確かで。

疲れているなら、休めばいいことくらい

解っているのだけれど、

それをしてしまったら、

離れていってしまうのではないかという不安で押しつぶされそう。

 

信じることのできない人間が、信じようとしているとき

曖昧なことが続く度に信じることができなくなっていく。

「信じる」、が失くなっていく。

 

ただ、抱きしめてもらうだけで良い。

頑張ったね、って言ってくれるだけで良い。

手を繋いでくれるだけで良い。

それだけで、

全部赦すことができて、また信じることができるのに。

明日の光になるのに。

 

 

窓もない部屋で、

言葉も交わさないまま抱きしめあって、

自分に素直になって、手を繋いで眠って、

少しの時間だけ同じ道を歩いて、また別れて。

そしてまた、次の光を探しあう。

 

それに溺れて、溺れて、

もう、息が苦しい。

勝手とは。

 

勝手、ってなんだろう。

 

 

一緒にいる時の幸せを、

その幸せが壊れてしまうことが、

失ってしまうことが、

ただ、怖いだけなのかもしれない。

 

勝手だな、という言葉の重さも

わかっているし

その通りだなと思う自分もいるし

それなのに、またこうやって

自分の時間を犠牲にして相手の為に尽くして

それが本当の幸せなのかと言われれば

きっとそうではないのではないかってことぐらい

なんとくなく、わかっているつもり。

 

自分の時間を犠牲にして、体調を崩して

それでいいの?

それが、相手を大切にする態度なの?

きっとそういうことを言いたいんだろう。

 

 

大切かどうか、はわからない。

好き、かもわからない。

 

だから不安になる。

言葉がないと不安になる。

視覚で、聴覚で、触覚で、感じないと不安になる。 

手の届くところに未来はない。

その事実に直面したとたん、

この現実から離れてしまうことが怖くなって

視覚も、聴覚も、触覚も、全部が欲しくなる。

 

 

「愛おしい」と何度も言ってもらえたり、

抱きしめてもらえたり、

少しの時間があれば手を握ってもらえたり。

 

それの温かさを知ってしまったら、

もっと、もっと、って欲張りになるのです。

好きの形を、示して欲しくなるのです。

 

その欲張りこそ、が

わたしの勝手なのだと思います。

 

心の隙間を埋めるような真似をしておきながら

本当に好きと言ってもらいたいなんて、

自分勝手の何物でもないのです。

ただの、欲張りに過ぎないのです。

 

結局のところ、

好かれたいだけの、欲張りな空気に過ぎないのです。

 

あわいろ

 

膝の上に頭を乗せて

これから自分はどうなっていくんだろう、とか

この道はどこまで続くんだろうとか

そんなことばかり考えたりして。

髪の毛を梳くこの手が

泡のように消えて無くなって

きっとボブヘアに戻ったりして。

 

窓のない道を進む時、

そっと手を繋ぐのが好きだったり

窓から顔を覗かせて

いつまでも見ていることが好きだったり

数えたらきりがなくて

歪んだ日常すら、愛おしく思えるほど

毎日それに溢れている。

 

苦しいことも悲しいことも

全て食べてしまうから

咀嚼して身体の一部になって

朝をおそれずに、光を探せるように

 

ねじれた道でもときめくもの

窓のない四角い箱で手を繋いで

淡い色の夢を見ながら指を絡めて

闇も全て飲み込んで

吐いた全てを連れていくから、

 

あなたにはいつも、笑っていてほしい。

ゆめのさかいめ

 

「私と仕事、どっちが大切なの?」

そう訊く女が、すごく嫌いだった。

 

仕事を頑張っているから、いいじゃない。

みんなに頼られているから、いいじゃない。

自分勝手だよ、と。

 

けれど最近、

そう言った人達の気持ちが分かる気がする。

 

別に自分を優先してくれ、というわけじゃない。

自分だけを見てくれ、というわけじゃない。

相手の中の自分が

少しずつ、少しずつ

いなくなっている気がして

きっと寂しくて、不安でたまらなかったのだと思う。

嫌われたくないから、傍にいたいから

我慢して、装って、疲れてしまったのだと思う。

 

 

 

「会いたい」と言うことより

一度くらいは「会いたい」と言われたいし

「好き」と言うより

せめて一度くらいは「好き」と言われたい。

 

現実が、少しの希望すらかき消していくなら

もう現実など見なくて良いし、

誰かの為に存在していると言う事実だけで

それだけで良い。

 

上手く結べないものを手放すこともできずに

縋ることしかできなくて

結ばれて身動きの取れないものに安心して

残された跡すら、

翌日には消えて無くなって。

結局、目に見える形では何も残らなくて

存在すら、見失いそう。

 

 

ただ私が、

其処に、確かに存在していてほしいだけ。

会いたい人であってほしいだけ。

 

 

 

 

 

トランプ

 

寂しい時に、「寂しい」と言えたら。

 

苦しい時に、「苦しい」と言えたら。

 

背伸びをして、思ってもないことを言って

息が、また、苦しくなる。

 

 

一方で、

何を言っても許される気がして

全部、受け止めようとしてくれることに

ただ甘えてしまって

「会いたい」も「好き」も「寂しい」も「幸せ」も

詰まって苦しくなった息を一気に吐き出すように

毎日、毎日、毎日。

 

 

窓もない場所で

ひっそりと、ただひたすらに

エゴでしかないそれを吐き出す私を

否定もせずに飲み込んでいくから、

本当の私はこれなんじゃないか、ってくらいの錯覚で

現実を遠ざけて、深く深く、沈めていくだけ。

 

エゴを押し付けあうことで両成敗にしているような。

それでいて、満たされない何かを求めているような。

気持ちが溢れてはいけないから、余裕を見つけて、

ひたすらにそれを求めるだけ、のような。

 

辻褄の合わない苦しさを、

好き好んで求めているわけでは、ない。

 

 

それでも、

もう、このままで良いやと思う時がある。

そしたら私は、少なからず私からは、

両足を取られた其処から抜け出すことなどしないだろうし、

逆を言えば、

私がジョーカーを持つ限りは

窓すらない、其処からは

どちらも、抜け出すことはできない、のだと思う。

 

抜け出せるのは

ジョーカーを破り捨てた、ら。

 

ふたりじかん

 

 

 

ただ、其処にいることだけに溺れている姿が、

とてつもなくわたしらしくて

とてつもなく、幸せそうな写真がある。

 

 

歪で、不純で、将来もない。

夢の中でふわり浮かんでいるだけの時間。

たまらなく卑怯で、それでいて、

幸せな時間。

 

隙間を埋めるだけなのに

もう少し、夢の中で泳いでいたい。

 

 

撫でて、抱きしめてくれるそれが

わたしだけのものであってほしい。