ひとつだけ。
何も求めなくても、一番欲しい言葉をいつもくれて
何も期待しなくても、それ以上のことをしてくれて
なにより、
「わたし」という人間がただ其処に存在しているだけなのに
それだけのことを、喜んでくれる。
未来を約束できなくても、今、をたくさん与えてくれる。
想った分だけ、それ以上を返してくれる。
毎日、毎日、先が見えない不安に気づかないふりをして
立ち位置のない立ち位置なんて見ないふりをして
大人びた言葉で誤魔化して、
面倒だと思われないように必死で。
本当は、とても寂しいし、悲しいし、苦しい。
本当は、テレビを見てケラケラ笑ったり
コンビニスイーツを半分こしたり
お風呂に入って、歯磨きをして
くっついて眠りたいだけなのに。
お金持ちになんて、ならなくていい。
平凡な毎日でいい。
何も、高望みなんてしないのに。
そんなことは、望んでいないのに。
悲しいと苦しいと悔しいが混ざりあって
笑うことすら、忘れてしまいそう。
未来の幸せが約束できなくても、
今、わたしを生かしているのは
紛れもなく、前者。